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通勤時間に、ポータブルDVDを活用しての通勤快速内鑑賞を、ウインドウズタブレットで執筆を行っています。 鑑賞中の直感的な感想をツイッターで 「実況」 → 鑑賞後、作品を俯瞰して 「未完成レビュー」 → そして推敲して 「完成! レビュー」 へと3回の過程を経て完成させていく様をご覧くさい
完成! 「殺しの烙印」 
2006-08-03 Thu 00:33

殺しの烙印

 

通勤時間を活用して、ポータブルDVDプレイヤーを使っての地下鉄内鑑賞にいそしんでいます。

分割しての鑑賞であるため、感想文も分割となっています。




                       第1回目 6月30日(土)


時間の省略など、大胆な手法で、普通っぽくしないのが鈴木清順流というところかな。
今後このニュアンスが全体にどのように影響を及ぼすかが興味のあるところだ、なぜなら、この映画が原因で鈴木清順は永らく監督業から干されることになるんだよね。


     かにひねっていてしい


でも物語を語ることをスキップしてしまっているように思えた。感覚的にこんな表現方法は興味深いことはもちろんだが、映画を貫くストーリーはしっかりと伝えてほしいなと、ちょっと警告を発してしまいました。
宍戸錠は案外渋くて、主役でも持ちこたえられそうだな。
鈴木の世界を宍戸がどのように振舞うか明日以降注目したい。





                       第2回目 7月4日(月)


いやー、こまったな、殺し屋のハードボイルドなお話しを、こだわりの語り口で見せてくれる映画かな? 
なんて勝手に考えておりました。真理アンヌが登場してきたあたりから、


     ATG 観念映画っぽく


なってまいりまして、ちょっと置いてけぼりを食らっておりましたところ、いきなりの上映施設に舞台が移っての展開。
スクリーンに真理アンヌのお顔が映し出され、それに突進していく宍戸錠。おっと!2作連続(前作は 「ムーラン・ルージュ」 )の 


     【 「現実」  「虚構」 の 融合 】


に涙を流してしまうのか?! と思った瞬間に、降車駅に滑り込んだのでした。希望を明日に託して本日の車内鑑賞は終了、ハードボイルドからATGへ、そして明日はどうなるのでしょうか? 楽しみであり、ちょっと怖い。




                      第3回目 7月6日(水)



     「 これがNo.1やり口。敵をじらし、疲れさせ、殺。 」



これがこの映画のやり口だったんだー!!

これは殺し屋のランキング抗争の映画だったのだ。宍戸は殺し屋ランキングNo.3の男。この男を利用してランキングNo.1が目障りなNo.4とNo.2を消し、最後はNo.3である宍戸の命を狙う というお話であった。

No.1は彼の「変なコダワリ」のヤリ口にのっとって、宍戸とプチ同棲?までをして 「敵をじらし、疲れさせ、殺す。」 ことを実行しようとするのだ。

そんなこの映画のキーワードは 「変なコダワリ」。 それを特徴づけるシーンが埠頭での決闘シーンだ。
宍戸が自動車の下に潜り込み、ウィンチを車の先頭に取り付ける、ロープは進行方向にいる敵に向かって伸びて、途中に滑車をかまして、また自動車に向かってUターン。先端のロープを宍戸が力一杯引っ張ると
な、なんと、滑車・ロープ・ウィンチの作用で、自動車が敵に向かって前進して行くではないか!  宍戸はロープを引っ張りながら、ホフク前進をする、自動車の下に隠れているので、敵からの銃弾を避けながら、ライフルを撃ちながら、確実に敵に接近していくのだ。


    という映画的興奮!!。


この映画は 「変なコダワリで形成されたムダ」 が一杯に散りばめられている特権的な映画であると結論づけたい。いや、この映画自体が 


    「 変コダワリ形成されたムダ 」 


そのものではないかと、そんな稀有な存在ではないかと思えてくる。この 「ムダ」 を快く楽しめるか否かが、鈴木清順を解雇するか否かのボーダーラインだったのだろう。
当時の日活上層部の判断は、歴史が雄弁に語っている。

僕なら、ドキドキしながらも続投を許していたかな。いや、そんな勇気は無かったろうな、きっと........。

 

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この記事のコメント
弊記事までTB&コメント有難うございました。
お久しぶりです。
TBは相変わらずできませんので、URLにひそませておきました。

最初から最後まで、映画文法を無視して作っているところに一貫性がありました。
途中の観念映画的な部分は文法無視を映画の中で自ら宣言していると解釈できますね。

そう理解して観ると、意外と解り易い映画。
多分鈴木監督は2,3年早かったんでしょうね。
この後日本映画界を席巻するATGブームの洗礼を受けた観客なら、この映画を難解とも思わないでしょうし、会社の首脳陣も別の反応をしたでしょう。
スターシステムが崩壊しつつあった時代なので、放逐は必然でもあったのですが、変な“烙印”を押されてしまったので、その後暫く映画界での活動を封じられたのは鈴木監督の不運ですね。

あの匍匐前進はしびれました。映画的興奮とは、正にこれですね。
2009-04-23 Thu 03:01 | URL | オカピー #jHSMZ1/Y[ 内容変更]
コメントありがとうござました!
拙ブログにコメントいただいておりありがとうございました。こちらのレビューを興味深くよませていただきました。
もうずいぶん前に観たのですが,埠頭のシーンなど鮮明に蘇ってきました。こういう映画って,どれだけ心を開いて受け入れられるかで変わってきますよね。ストーリーを追うのを諦めるのは難しいんですけど。
キネマじゅんぽうというブログは,もう更新を止めておりまして,覚書程度に残しています。それでもよろしければTBをいただくのは大歓迎です!
2009-04-24 Fri 21:55 | URL | ジューベ #oDcsh8ug[ 内容変更]
オカピーさん
オカピーさん。こちらこそ、お久しぶりです。

“多分鈴木監督は2,3年早かったんでしょうね。
この後日本映画界を席巻するATGブームの洗礼を受けた観客なら、この映画を難解とも思わないでしょうし、会社の首脳陣も別の反応をしたでしょう。 ”

おー!  そうですよね!  非常に合意です!!

ボクも途中で “ATGの観念映画っぽく ” なんて書いてますけど、上映時点の1967にはまだATGは観念っぽい映画を製作していなかったのですよね。翌年の1968年になってやっと「絞死刑」を上映するわけなのですから、

そういった意味では、唯一無二の映画を鈴木清順監督は創作していたということなのですね。

だから首脳陣は 「わけわかんねー」 ということになったのでしょうね。


納得です。


オカピーさんのレビューはこちらです


http://okapi.at.webry.info/200706/article_3.html

2009-04-27 Mon 21:59 | URL | マーク・レスター #-[ 内容変更]
ジューベさん
ジューベさん いらっしゃいませ。

ジューベさんのレビューにある言葉

”イメージの連鎖として,感覚的に観ることが大切になるのでしょう。”

に合意でございます。前コメントのオカピーさんの内容にもあるように、
ATGを事前に経験していたボクらには、いくらか、イメージの連鎖や残像を紡ぎ合わせて、物語を感じ取ることができたのかもしれませんが、前時代の人々にとっては心を開けないものだったのでしょうね。


貴ブログは更新をしていらっしゃらないとのこと、
残念です。アーカイブを楽しませて頂きます。

↓ ジューベさんのレビューはこちらです

http://jouvet.cocolog-nifty.com/cinema/2007/05/post_f1fc.html
2009-04-27 Mon 22:19 | URL | マーク・レスター #-[ 内容変更]
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